猫の妊娠・出産

猫の妊娠・出産

さかりがつき、交配した後、
約３週間程で妊娠の兆候が出始めます。

病院で検査してもわかりますが、
乳首がピンク色になり、突出して来ましたら妊娠と見て間違いないでしょう。
また、動作が緩慢になり、食欲が旺盛になったり、
一時的に人間と同じようにつわりの症状が出て、
吐いたり、食欲不振になったりもします。

１ヶ月ほどで腹部のふくらみが目立ちはじめます。
また、大きくなった子宮が膀胱を圧迫しますので頻尿になります。

妊娠したか気になって腹部を飼い主がむやみに触ることは避けて下さい。

妊娠期間は約２ヶ月間です。

妊娠期には栄養管理が非常に重要です。
偏っていたり、栄養不足ですと生まれてくる
猫の成長にひびく事は勿論、
母猫の産後の健康にも著しく影響します。

カロリーは通常の３分の１ほど増やし、
良質のたんぱく質の他、ビタミンやカルシウムを
１日に３～４回に分けて与えます。食べ過ぎたり、
消化が良くなくて下痢しますと流産の元となりますので
充分注意しながら与えることが大切です。

妊娠中はお腹も重くなっているので、
バランス感覚が鈍っています。

そのため、高いところや落ちそうな
危険なところがある場合には、
出来るだけ改善して低いところで
無理なく生活できるように配慮してあげましょう。

飼い猫の妊娠は、飼い主にとって嬉しいものです。
しかし、不用意にやたらと腹部を触ったり、
来たお客さんにやたらと連れてきて見せたりしますと、
猫が不安になるのは勿論、腹部を触られた
ストレスで流産することもあります。

また、お腹の中では、幾つかの後が一生懸命に
生を受けるために僅か９週間足らずの間に成長を続けています。

その成長を妨げることのない様、安静にゆったり
過ごさせてあげることが飼い主の重要な役目なのです。

人間にしても動物にしても、命を宿して育むことは、
精神的にも肉体的にも一大事業なのは同じです。

飼い猫が必死に生の誕生のために
頑張っていることを理解して
見守ってあげることを忘れないで下さい。

■出産日が近づいてきたら

出産日が近づいてきたら、
産箱を用意します。産箱の場所は、
風通しが良く、落ち着ける場所で
静かなところが良いでしょう。

猫が手足を伸ばしてゆったり出来るだけの
大きさのあるダンボール箱を用意します。

一つの箱では小さいという場合は、
二つの箱を切ってうまく繋げてやると大きめの箱が出来ます。
箱が用意できたら、中に新聞紙を敷いておきます。

タオルなどを用意しても、いざお産の時は思ったより
猫は力んで手足を動かしますので、沢山タオルを入れていますと、
箱の中に固まりになって猫が思うように動きがとりづらくなります。

タオルを入れる場合は必要なとき、
必要な数だけ入れては換えて、
という作業をこまめにする以外は猫に
とってはむやみに入れられたタオルは邪魔なだけです。

産箱の用意が出来たら、出来るだけ猫を箱に慣れさせていきます。
中には入りたがらない猫もいますが、
お産が近くなった時に連れていけばそこに入りこみ、
産みますので心配はいりません。

箱の入り口は、子猫が出られない高さで
母猫が通るには腹部がつかえない程度の高さに開けておきます。
あまり外から丸見えでも落ち着いてお産が出来ないので、
上には軽くカーテンのようにタオルなどをかけておきますと
安心してお産が出来ます。

いざ出産の時に慌てないように、
捨てても良いタオル（清潔なもの）、
糸、ハサミなどをすぐに出せるところに
用意しておくといいでしょう。

■出産が近づいたサイン

出産が近づく頃は、普段の倍以上の睡眠をとりますし、
動作もますます緩慢になっていきます。

そして、やたらと甘えてきたりしますといよいよ出産も間近です。
食欲がなくなり、吐いたりすることもあります。

そして産む所を探して歩くようなそぶりがあればもう
出産の合図です。産箱に入らない猫の場合は、
そっと入れて教えてあげます。
（抱きかかえる時に腹部を
圧迫しないようにして下さい）

陣痛が始まると、お腹が固くなり、
手足を突っ張って陣痛中を耐えていることがわかります。

陣痛の間隔が段々短くなって力みが強くなってきたら、
もうじきです。ひどく気がたっているようなら近づかずに
遠くで見守っていましょう。

なつこい猫などは人間が側にいないと呼ぶ猫もいます。
近くに寄ってあげますと、安心したようにまた頑張ります。

そのような猫の場合はそっとお腹を撫でて
励ましてあげてもいいでしょう。
不用意に力を入れるのは厳禁です。

陣痛が始まってから生まれるまでの時間には
個体差がありますが、大体３０分から１時間程度で第１子が生まれます。

生まれる間際にはかなり陣痛が強くなり、
暴れて泣き叫ぶ猫もいますが、
励まして落ち着かせてあげます。

かなり強く最後にいきむと、膣口から
透明な膜に包まれた赤黒いものが押し出されて来ます。

この膜は羊膜で、中は胎児と羊水が入っています。
母猫は、この膜を噛み切り、胎盤と胎児がつながっているへその緒も噛み切ります。

胎児が出てから暫くして、赤黒いぬるっとした胎盤が出てきます。
胎盤は栄養豊富で、産後の猫の健康にとても重要な役目をします。
この胎盤を母猫は食べて、栄養にします。

母猫は、綺麗に子猫をなめてやり、次のお産に備えます。

これらの役目は、自然と猫の本能で行うのが常ですが、
稀に飼い主がいる安心感から何もしない猫がいます。
そのような時は代わりに飼い主がリードしてあげなければなりません。

見守っていても何もしないようなら、
飼い主は羊膜を素早く消毒したはさみで気をつけて破り、
ガーゼ等で胎児の鼻のところをふきとり、
（羊水で窒息するのを防ぐため）へその緒の、
胎児の体から３センチほどのところを木綿糸で
３回ほど巻いて縛り、はさみで切るか指でしごいて切断します。

縛るのは、止血のためです。しっかり縛らないと血が止まりません。
木綿糸がない場合は、消毒した清潔な手で
爪でしっかりとへその緒を押さえてから切っても構いません。
へその緒を引っ張ったりしますと、お腹に穴があきますので
引っ張ったりしないように注意して下さい。

止血してから３センチほどのところで切ります。

思ったより、ヌルヌルして滑りますが、
落ち着いてやれば大丈夫です。深呼吸して落ち着いて、
着々と頑張って下さい。

母猫が胎盤を食べない場合は、
鼻先まで持っていきますと食べます。
それでも食べない場合は、
口の中に入れてあげますと大抵食べます。

食べて落ち着いたら母猫は子猫を必死になめ始めるでしょう。
子猫は、この刺激によって鳴き声をあげはじめ、
お乳を探します。最初からすぐにみつけることは出来ませんので、
もそもそと不器用に動きながら探しますが、
一度みつければ吸い始めます。
きちんと吸えるようになるまでには思ったより時間がかかります。

第１子が生まれたら後は楽に生まれてきます。
個体差はありますが、大体、次の分娩までは
２０分前後の時間がかかります。生まれる子猫の数によりますが、
胎盤は食べさせても３つまでにします。
胎盤は豊富な栄養ですが、３つ以上食べますと下痢の原因になったり、
陣痛の時に吐いてしまうことがあります。
４つ目以降の胎盤は捨ててください。

■お産の異常について

■陣痛微弱
いきみが弱く、途中でうとうと寝てしまって
陣痛が始まってから１時間以上経っても生まれない場合
対処
すみやかに獣医師を呼びます。帝王切開になることもあります。

■逆子の場合
猫に逆子は結構多いものです。逆子ですと、
首などがひっかかってなかなか思うように出てこない時があります。
ひっぱるのは厳禁ですが、そっとつまんで引き出すようにして取り出します。

逆子の場合は、背中のカーブに自然に沿うように手を丸めて引き出すように。

■仮死状態で生まれた場合
分娩に時間がかかりすぎて、子猫が窒息しかかっている状態です。
このようなときは、まず羊水が鼻や喉に入っていることがありますので、
口の中に指を入れて羊水の泡を取り、
子猫をさかさに持ち、何度か軽く振ってみます。
そして、人肌よりも熱めのお湯で手をあたためて、
その手でさすってみましょう。

■出産後

母猫は最初の数日は、子猫の側を離れません。
お乳をあげてじっと寝て、子猫をなめたりして過ごしています。
この間に子猫と母猫の愛情の絆が作られていくのです。

子猫はまだ目も見えません。殆どお乳を飲むか、
寝ているかの生活です。お腹がいっぱいになるとお互いに体を寄せ合い、
眠ります。温かさと安心に包まれて健康な猫に育ちます。

母猫は子猫の体をなめて血液の循環を良くするほか、
排泄部分もなめて、自力で排泄できない子猫の
排泄物をなめ取ります。

母乳は大切な栄養です。子猫の成長に必要な
栄養素が全て含まれており、また病気に対する免疫が
受けられるのでとても重要なのです。

母乳を貰っていない猫はちょっとした病気でも安易に
命が奪われてしまうことがあります。

生後２～３週間は子猫の栄養は母乳だけで足ります。
その後は離乳食が始まります。離乳食が
始まってもまだ、お乳を飲んで育ちます。

産後の母猫は授乳の分も栄養を必要とします。
産後の体が弱ってしまうことがないよう、
栄養価の高い、消化の良いものを
回数を５回ほどに小分けして与えます。


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